「記憶の宮殿のトリセツ」を読んで記憶の宮殿を使い始めました

こんにちは!相変わらず中国は自宅待機が続いていますが、深圳から動かなかったおかげでようやく明日から出勤できそうです。

自宅にこもっているので、思う存分読書を楽しんでいるのだけど、読んだ端から内容を忘れてしまうので、そんな流れから記憶術に手を出し始めました←雑

ということで、それに伴って購入した「記憶の宮殿のトリセツ」という本を読んだ感想と、著者のHiRoさんとメールのやり取りを今回は書きたいと思います。

※ちなみに、本記事は記憶の宮殿のテクニック ( 場所記憶法 ) そのものには触れていません。記憶の宮殿については、本書の著者であるHiRoさんのブログが非常に詳しいので、そちら、もしくは記憶術関連の書籍を参照していただくほうがいいと思います。

記憶の宮殿

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記憶の宮殿という言葉は、だいぶ前に読んだ「ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由」という本で知っていました。

ただ、この本は、記憶術というものが一般的で誰でもできる、ということは書いてあるけれど、記憶術のテクニックを伝授する本ではないため、その構築の仕方や特訓方法については詳しく言及されていませんでした。また、原著が日本語ではないこともあり、登場するテクニックにピンとこず、当時は「ふーん」で終わっていました。

で、いまさら思い出して、「記憶の宮殿」という言葉をググってみたわけです。

記憶の宮殿のトリセツ

そこで、下記のブログに行き当たりました。

memory-kioku.com

このブログには記憶の宮殿の作り方やコツ、トレーニング方法などが非常に詳しく書いてあり、「え?これ無料でいいの!?」って感じるレベルです。

・・・と思っていたら、本も書かれているとのことなので、早速購入してみました。

memory-palace.booth.pm

本の中では、ブログ内で紹介されている以上に細かく記憶の宮殿について記載されていました。特に、ここが特徴的だと感じたのが、下記の3点です。

  • 記憶の宮殿の作り方の例が自宅ではない
  • 記憶の宮殿の育て方が記載されている
  • 記憶の宮殿の応用ではなく作り方・育て方に特化

それぞれの特徴について説明していきたいと思います。

記憶の宮殿の作り方の例が自宅ではない

記憶の宮殿の話が書いてある本や記事を見ると、大抵「身近な自宅から」と初めに書いてあります*1。ただ、この本で最初に例として取り上げているのは、「外国人の人気スポットNo.1」という理由で、伏見神社です。

確かに、鳥居や狐の石像など記憶に残りそうなポイントが多くあり、イメージ記憶という記憶の宮殿の本質にピッタリの場所だな、と感じました。

それ以上に感じたのが、単に有名な場所だからここがいい、という説明ではなく、「自分で気になったポイント」として、石畳のちょっとした違いの部分や電話ボックスなどを例に上げているところです。要は、自分なりのポイントを発見することの楽しみが非常に強調されています。これを読むと、「記憶の宮殿を構築する」という行為自体が楽しく感じられます。実際に読後、「ああ、旅に行ってこんな感じで風景眺めて頭の中で「宮殿」として残しておけたら、すごく楽しそうだな!」と強く感じました。

結局、私は例によって例のごとく自宅から記憶の宮殿の構築をはじめましたが、その後、記憶の宮殿をどうやって広げようか、と考えるたびに、玄関の扉を開けるのが楽しみになりました←大げさだけど本当

記憶の宮殿という記憶術が、単なる技術ではなくそれ自体が楽しいものだと感じさせてくれる点で、本書のこの特徴は大きいです。

記憶の宮殿を育てる方法が記載

記憶の宮殿の作り方について言及している本や記事は何度かみましたが、「育てる」ということにここまで言及しているものはないかなと思います。

特に、

  • 記憶の宮殿をただ周回する
  • 記憶の宮殿にただイメージを置いてみる
  • それぞれのタイムを測る

というトレーニング方法は斬新でした。なんといっても、このトレーニングでは記憶術であるにも関わらず全く記憶しないからです!

実際、Memory Leagueで画像記憶などをやってみると、記憶の宮殿を周る速さとイメージを置く速さは重要になってくることが身にしみてわかりました。

また、育てた記憶の宮殿を、一軍、二軍、三軍、ルーキーなどと分類しているのも興味深いです。一軍レベルの宮殿があってこその記憶の宮殿であって、三軍レベルではできることは限られている、というニュアンスでバッサリ「記憶の宮殿は用途が限られる」という主張を切り捨てています。

自宅をベースに記憶の宮殿を構築してわかりましたが、自宅の中でもポイント間をスムーズに移動できるところや引っかかるところ、またイメージを置くときに手間取るところなどがあります。そこを、「まあこんなもんだろ」と放置するのではなく、ここを「あーここはまだ鍛えどころだからな!」と思わせてくれたのがこの宮殿のクラス分けですね。

つまり、記憶するにも基礎体力(脳力というべきか)が必要であり、記憶以外のイメージ力をきちんと育てなければならない、ということが、その鍛え方を含めてきちんと述べられています。

この記述に触れたことで、この記憶術を使った競技が「メモリースポーツ」と呼ばれるのも腑に落ちました。

記憶の宮殿の応用ではなく作り方・育て方に特化

記憶術、というとなんとなく怪しく感じるのは、某少年誌によく掲載されていた広告のせいではないでしょうか?笑

実際、私自身も小学校時代に「お前はあの記憶術をやって頭にチップが埋め込まれている」といわれのない揶揄をされた苦い記憶があります。。。

・・・で、広告は抜きにしても、こういうテクニック本というのは、得てして「お金持ちになりました!」「異性にモテモテ!」「会社で出世しました!」など怪しい謳い文句がギトギトと書いてあるものが多いです。ただし、本書に関しては、さわりで少し記載はありますが、基本的には記憶の宮殿の作り方や育て方に特化しています。

そもそも記憶術を学ぼう、と思い立って本書に行き着いた人は、記憶術を使って○○したい、という欲求が明確だと思うんですよね。私自身も語学学習や読書の充実に役立てたい、という目標がありました。その分、そこらへんの記述がないというのは、逆に本書の良さである(と私が考える)「記憶の宮殿を作ること自体の楽しさ」を強調していると思います。

以上、3つの点で他の記憶術の本と異なっていて、非常に興味深く読ませていただきました。

著者に質問してみた

で、本の最後にメールアドレスの記載があったので、本書や(おそらく)ブログでも触れられていなかった点を、厚かましくも質問してみました笑

な、なんと!メールしたその日に返信あり!

その内容について、HiRoさんに掲載許可をいただきましたので、以下に掲載したいと思います。

※個人名以外は原文ママ


Q1. 記憶の宮殿は使い回しが効きますか?例えばTODOリストのように、短期的に覚えておきたいものは何度も使い回すと思うのですが、そのたびに記憶の混乱が起こったりしないものでしょうか?

TODOリストみたいに短期的なものは、復習をしなければ時間がたったら自然と消えていきますが、 使いまわすときは使う間隔をしばらく開けておいた方がいいですね。 間隔が短いとおっしゃるように前のイメージが残って混乱を招きやすいですからね。

できることなら記憶の宮殿を複数作っておいて、一度使ったら数日休ませるようにして、 その間は他の宮殿を使うようにしてローテーションを回せるようにするのが理想的ですね。


Q2. 1つの宮殿に設置するポイントはどれくらいがいいというのはありますか?個人差がありますでしょうか?

何に利用するかにもよると思いますが、個人的には50くらいが理想的だと思います。 50くらいあれば買い物リストなどの記憶にも十分足りる分量だと思いますし、 トランプも1パック、数字も100桁、単語も50語とメモリーリーグの全ての種目にも対応できる分量です。

あまり多すぎても馴染ませるのに時間がかかりますし、修正や改良するときに融通も利きにくくなりますしね。

1つの場所に2つ3つと複数のイメージを置くテクニックが使える場合は1/2,1/3に減らしてもいいと思います。


Q3. Memory LeagueのImage記憶で、初心者が目指す一旦の目標レベルはありますか? 記憶の宮殿を今日から使い始めて、いったん12枚まではほぼ記憶できることがわかりました。

う~ん、レベル8~10くらいですかね? IMAGESは他の種目よりも比較的難易度が低めなので、初心者の方でもレベル8くらいは狙いたいところですね。 ただshorieさんの場合は、今日からやりはじめてすでに12枚までいけるとのことなので、レベル10は十分に狙えると思います。 初日から12枚もいけるのでポテンシャルも高いものをお持ちだと思いますし、 記憶の宮殿が馴染んでくればもっとスピードや精度も上がってくると思います。 ぜひとも30枚パーフェクトを目指してほしいですね!

すでに30ほどポイントを作っているとのことなので、タイムを2分とか3分とか長めに設定して、30枚全部記憶する練習をするのもいいと思います。


て、ていねいだ。。。。素直にちょっと感動しました。

超初心者の稚拙な質問・疑問点に丁寧に答えていただき、非常にありがたかったです。

特に、Q2の「ポイントを多くしすぎても育てるのに時間がかかるし修正が大変」というのは、まさに本書の「記憶の宮殿を育てる」というテーマと合致しており、大変参考になりました。

終わりに

ということで、自分の中の記憶の宮殿、育てていこうと思います。

ちなみに、Memory Leagueの現時点でのスコアは、

  • IMAGES: 14枚/min
  • NUMBERS: 18桁/min

です。どこまでのばせるかなー。

ではではー

*1:本の中で自宅から記憶の宮殿を作ることを否定しているわけではなく、むしろ「まずは自分の部屋がおすすめです」と書いてあります。先に紹介したブログ内でもそうおすすめしてありました。